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「非線形数理レクチャーシリーズ,2008」

最終更新日: 2009年1月9日


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第1回: Elliptic and parabolic equations with dynamical boundary conditions
講演者: Marek Fila 氏 (Department of Applied Mathematics and Statistics, Comenius University)
日時: 2008年6月6日(金)午後4時30分から6時まで
場所: 東北大学理学部数理科学記念館(川井ホール)24号室
概要: abstract
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第2回: Front propagation in spatially stratified environments 「空間的層構造をもつ環境下での波面の伝播」
講演者: 俣野 博 氏 (東京大学大学院数理科学研究科)
日時: 2008年7月4日(金)午後4時30分から6時まで
場所: 東北大学理学部数理科学記念館(川井ホール)24号室
講演要旨:媒質が空間的層構造(すなわち縞状のパターン)をもつとき,その層構造が拡散進行波の伝播速度にどのような影響を及ぼすかを論じる.次に,その結果を利用して,コンパクトな台をもつ初期値から出発して周囲に広がっていく波面の形状が,時間の経過とともにどのような漸近形に近づくかという問題を論じる. 主として2次元の問題を扱う.考える方程式は,KPP型単安定非線形項をもつ拡散方程式,およびAllen-Cahn方程式の特異極限として得られる界面方程式である.また,層構造が周期的な場合だけでなく,概周期的な場合も論じる.時間があれば,ある種の伝染病モデルに現れる波面伝播についても触れる予定である.
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第3回: バクテリア・コロニーの形成機構 − 実験とモデル化 −
講演者: 松下 貢 氏 (中央大学理工学部物理学科)
日時: 2009年1月20日(火)午後4時30分から6時まで
場所: 東北大学理学部数理科学記念館(川井ホール)24号室
講 演要旨:生き物の集団的な振る舞いを問題にするとき, その集団を構成する個体の主な特徴は増殖と運動であろう. これはいろいろな生物の集りから人間による村落や都市形成 に到るまで, 共通しているように思われる. ここでは容易に実験できる例として細菌を取り上げ, この二つの特徴が織りなす多彩なコロニー・パターンの形成機構を議論してみる. 私たちのこれまでの研究によると, 自然界にごく普通に生存する枯草菌について, 環境条件として寒天培地中に仕込んだ栄養の濃度(増殖能に関係)と培地の固さ(運動能に関係)の2つの量を変えただけでコロニー・パターンが様々に変化することが見出された. 例えば, 自己相似フラクタルや同心円状, 密集した枝分かれパターンなどである. 興味深いのは, これらのパターンのいくつかは物理化学系でもしばしば見られ, 普遍的パターンの存在を示唆する. 他方で, 集落パターンが環境条件の違いでこのように多彩に変わることは, 普通には単細胞の典型例と言われている細菌の多細胞的生存戦略を暗示しているようにも思われる. 特に, バクテリア集団の遊走と停止を周期的に繰り返してできる同心円状のコロニー・パターンは枯草菌だけでなく, 最近になって霊菌や大腸菌でも観察された. バクテリアの世界ではこのような周期的集団行動は一般的のようで, その生物学的意味が何なのか, 興味深い. また, バクテリア・コロニー形成のモデルが反応拡散方程式を基礎にこれまでにいくつか提案されている. それらを紹介し, 実験の立場から現在どこが問題かを批判的に議論してみたい.
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世話人: 池田 幸太,高木 泉,柳田 英二
980-8578 仙台市青葉区荒巻字青葉6-3
東北大学大学院理学研究科数学専攻
電話: 022-795-6401, FAX: 022-795-6400