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「パターン形成の数理―特異摂動論の観点から」

最終更新日: 2011年10月6日


本講義は東北大学グローバルCOE「物質階層を紡ぐ科学フロンティアの新展開」の融合教育科目です.


◎授業の目的と概要:
 生物の発生過程における形態形成や赤血球膜の形状などの数理モデルは,非常に複雑な生命現象を支配する物理的仕組みを表現するために提唱されている.
ひとたび微分方程式として表現されれば,それは数学の研究対象でもある.数理モデルについての数学的理解が進めば,生命現象の理解も深まり,また,
逆に理論的予想を立てることも可能になる.
 本講義では,反応拡散系によるパターン形成の理論への入門として,定常パターンの構成とその安定性の判定に関する数学的理論について講述する.拡散
係数が非常に小さいときは,拡散項を省略して得られる代数方程式の解を第一近似として,非常に小さい拡散係数をもつ方程式の解を構成する方法を特異摂
動法という.具体的な反応拡散系について,この方法を適用し定常解を求める手続きを厳密に正当化することを主な目的とする.

◎学習の到達目標:
拡散誘導不安定化について定量的に理解する.分岐理論の基礎,特異摂動法の基礎を習得する.

◎授業の内容・方法と進度予定:
以下の内容について,簡単な方程式を例に基本的な考えを解説する.
1.拡散誘導不安定化と反応拡散方程式系
2.分岐理論による拡散誘導不安定化の証明
3.特異摂動定常解の構成
4.特異摂動定常解の安定性
5.高次元の定常問題

教科書および参考書:

 教科書は用いない.参考書として以下を挙げるが,講義中にも随時挙げる.
 増田久弥 著「非線型数学」朝倉書店, 1985年
 James D. Murray 著, "Mathematical Biology I. An Introduction", 
"Mathematical Biology II: Spatial Models and Biomedical Applications", Third Edition, Springer, 2002, 2003.
 西浦廉政著「非平衡ダイナミクスの数理」岩波書店, 2009年


成績評価の方法:
 課題レポートもしくは口頭試問による.

その他:
*講義終了後に質問を受け付ける時間帯を設ける.


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