「生命現象の数理 I : 数理生物学入門」

〜〜有限または無限次元力学系の観点から〜〜

最終更新日: 2008年9月11日


本講義は東北大学国際高等研究教育院 先端基礎科学領域基盤 の指定授業科目です.


◎授業の目的と概要:
 本講義は,「生命現象の数理」の前半として,生態学,発生生物学に現れる典型的な数理モデル
の数学的な解析方法に関する理論を解説するものである.ロトカ・ボルテラの競争系,被食者・捕
食者系,反応拡散系による形態形成モデルなどを取り上げ,これらを有限次元あるいは無限次元の
力学系と見なすことで,そのダイナミクスを平衡点の安定性,不安定性,分岐などの概念を手掛り
にして理解する.

◎学習の到達目標:
 *微分方程式によって記述された数理モデルに対し,その基礎的解析方法を身につける.
 *力学系の考え方による自然現象の理解の仕方を学ぶ.

◎授業の内容・方法と進度予定:
1.常微分方程式――その1:生態系のモデル(6回)
   テーマ:平衡点の不安定化と周期解の分岐
   マルサス則,ロジスティック方程式,ロトカ・ボルテラ競争系,被食者―捕食者系
2.常微分方程式――その2:酵素反応系(3回)
   テーマ:特異摂動問題
3.差分微分方程式:呼吸のモデル(2回)
   テーマ:無限次元空間における分岐
4.偏微分方程式:反応拡散系によるパターン形成(4回)
   テーマ:チューリングの拡散誘導不安定化
   フィッツヒュー・南雲方程式,ギーラー・マインハルトの活性因子―抑制因子系

◎教科書および参考書:
 教科書は用いない.参考書として,以下のものを挙げておく.他にも良書は多い.講義中随時紹介する.
[1] Fred Brauer and Carlos Castillo-Chavez, "Mathematical Models in Population Biology and Epidemiology", Springer 2001.
[2] James D. Murray, "Mathematical Biology I. An Introduction", Third Edition, Springer, 2002.
[3] Stephen Wiggins, "Introduction to Applied Nonlinear Dynamical Systems and Chaos", Second Edition, Springer, 2003.
[4] Eberhard Zeidler, "Applied Functional Analysis", Springer 1995.

◎成績評価の方法:
課題に対するレポートの成績により評価する.

◎その他:
講義終了後,質問の時間を設ける.


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